Google スプレッドシートモジュールの全体像
make.comのGoogle スプレッドシートアプリは、行・シート・セルの単位で幅広い操作ができます。他の記事で紹介したfreee・Zoho CRM・Slackとの違いは、トリガーが2系統用意されている点です。
| グループ | 主なモジュール | できること |
|---|---|---|
| 監視(トリガー) | Watch New Rows(通常)、Watch Changes(即時) | 新規行の追加・シートの変更を検知 |
| 行の操作 | Add a Row、Add Multiple Rows、Update a Row、Update Multiple Rows、Search Rows | 行の追加・更新・検索 |
| セル・範囲の操作 | Get Range Values、Clear a Cell、Clear a Row | 特定範囲の値取得・クリア |
| シート・書式 | Add a Sheet、Create a Conditional Format Rule | シートの新規作成・条件付き書式の設定 |
🗓 情報確認日:2026年8月11日(make.com公式アプリドキュメントapps.make.com/google-sheets-modules・apps.make.com/google-sheetsで確認)。仕様は変更される場合があるため、最新情報は公式ドキュメントでご確認ください。
接続を作成する
新規シナリオで「Google Sheets」を検索し、使いたいモジュールを選択します。「Add」から新しい接続を作成し、Googleアカウントでログイン・許可すれば完了です。
「Watch New Rows」と「Watch Changes」の違い
これまでの記事(freee・Zoho CRM・Slack)を通して、トリガーには「一定間隔で確認しにいくポーリング型」と「Webhookでイベントと同時に反応する即時型」の2種類があることを紹介してきました。Googleスプレッドシートは、この両方を1つのアプリの中で選べるという特徴があります。
| 比較項目 | Watch New Rows(通常) | Watch Changes(即時) |
|---|---|---|
| 反応速度 | 実行間隔ごと(無料プランは15分) | ✔ 変更と同時 |
| 設定の手間 | ✔ シンプル(対象シートを選ぶだけ) | スプレッドシート側にアドオンのインストールが必要 |
| 検知できる変更 | 新規行の追加のみ | セルの編集・削除など、より広い変更 |
| 向いている用途 | 日次〜数時間おきの定期処理 | チャット通知等、即時性が求められる処理 |
公式ドキュメントに明記されている重要な注意点です。シート内に空白行が1つでもあると、それ以降の行が処理されなくなります。フォームからの自動入力等で行が飛び飛びに追加される可能性がある場合は、事前にシート側で空白行が発生しない設計にしておく必要があります。
即時トリガー(Watch Changes)の設定手順
Watch Changesは、Slackの即時トリガーよりも一段階手順が多く、Googleスプレッドシート側でのアドオンインストールが必須です。実際の手順を順を追って解説します。
トリガーに「Google Sheets」→「Watch Changes」(Instantタグ付き)を選択し、「Add」から新規Webhookを作成・保存します。作成後、モジュール上に表示される「Copy address to clipboard」でWebhook URLをコピーしておきます。
対象のGoogleスプレッドシートを開き、「拡張機能」→「アドオン」→「アドオンを取得」を開きます。検索窓で「Integromat」と入力してください。
インストール後、「拡張機能」→「Integromat」→「Settings」を開き、手順2でコピーしたWebhook URLを貼り付けて保存します。これで、このスプレッドシートの変更がmake.comに即座に通知されるようになります。
シナリオ①:新規行を複数ツールへ自動配信
スプレッドシートに集まったデータを、Slack通知とメール送信の両方に同時展開する、実務でよくある構成です。
トリガーの後ろに2つのモジュールを並列で追加すると、1つのトリガーから複数の宛先へ同時に処理を展開できます。フォーム回答の集計シート等に新しい行が追加されるたびに、担当チームのSlackチャンネルへの通知と、責任者へのメール送信を同時に行う構成が組めます。make.com × Slack 自動化ガイドで紹介したメッセージ作成モジュールと組み合わせて使えます。
難易度:低 設定時間の目安:30分シナリオ②:条件付きで行の色分け・書式設定を自動化
金額が一定を超えた行だけ目立たせたい、期限が近い行を強調したい、といったニーズに対応するシナリオです。
「Google Sheets」→「Create a Conditional Format Rule」モジュールを使い、対象範囲・条件式・適用する書式(背景色等)を指定します。
シナリオ③:週次レポートをGoogleドキュメントで自動作成
毎週の数値をまとめて報告書を作る作業を自動化する、応用的なシナリオです。
スケジュールトリガーで毎週決まった時刻にシナリオを起動し、「Get Range Values」で集計範囲のデータを取得します。取得した値をGoogleドキュメントのテンプレート内のタグ(例:{{今週の売上}})にマッピングして自動生成すれば、週次報告書作成の手間を減らせます。テンプレート文書は事前にGoogleドキュメントで作成し、置き換えたい箇所にタグを埋め込んでおく必要があります。
シナリオ③の最後に、生成したGoogleドキュメントのURLを取得し、「Slack」→「Create a Message」でチームに共有するモジュールを追加すれば、レポート作成から共有までを完全に自動化できます。3つのアプリ(スプレッドシート・ドキュメント・Slack)を1つのシナリオでつなげる、複数記事の内容を組み合わせた実践例です。
実際に組んでみた感想
トリガーの選択肢の多さについて:freee・Zoho CRM・Slackの3記事を書いてきましたが、Googleスプレッドシートは唯一「通常型と即時型を両方、明確に選べる」アプリでした。用途に応じて使い分けられる柔軟さがある一方、即時トリガーの設定はSlackよりも一段階複雑(アドオンのインストールが必須)で、初めて触る場合は戸惑うポイントだと感じました。
「空白行で処理が止まる」という制約について:この制約は公式ドキュメントに明記されているものの、実際に自動化を運用してから気づくケースが多そうだと感じました。特に複数人でシートを編集している環境では、誰かが行を削除して空白行ができてしまう、という事故が起きやすいので、この記事で先に知っておく価値は大きいはずです。
アプリ名の表記ゆれについて:「Integromat」のままのアドオン名は、make.comへのブランド変更を知らない人からすると「本当にこれで合っているのか」と不安になりそうなポイントでした。この記事のように事前に伝えておくことで、無駄な探し物の時間を減らせると思います。
よくあるつまずきポイント
前述の通り、Watch New Rowsは空白行があるとそれ以降の行を処理しません。定期的にシートを確認し、意図しない空白行がないかチェックする運用ルールを決めておくことをおすすめします。
「Make」で検索しても出てきません。「Integromat」という旧称で検索してください。それでも見つからない場合、Google Workspaceの管理者がアドオンのインストールを制限している可能性があるため、管理者に確認してください。
Watch New Rows等のモジュール設定画面には「Table contains headers」という項目があります。シートの1行目が見出し(ヘッダー)であるにもかかわらず「No」を選択すると、見出し行までデータとして処理されてしまいます。シートの構成に合わせて正しく設定してください。
シナリオ②のように自動でルールを作成する場合、手動で設定した既存の条件付き書式と範囲が重なると、意図しない見た目になることがあります。自動化用のルールは専用の列・範囲に限定して設計することをおすすめします。
よくある質問
まとめ
Googleスプレッドシートは、これまで紹介したfreee・Zoho CRM・Slackすべての記事で「データの入り口」として使われてきた、make.com活用の土台となるアプリです。通常のWatch New Rowsで手軽に始め、即時性が必要になったらWatch Changesへステップアップする、という進め方がおすすめです。空白行の扱いとアドオン名の表記ゆれさえ押さえておけば、他のアプリとの組み合わせで応用範囲が大きく広がります。
- 無料プランでWatch New Rows・Watch Changesとも利用可能
- 月1,000クレジットまで無料