Slackモジュールの全体像
make.comのSlackアプリは、Make社によって公式にサポートされているアプリです。メッセージ・ファイル・チャンネル・リアクション・ユーザー・リマインダー・ステータスといった幅広い対象に対して、作成・更新・削除・取得・監視・検索の操作ができます。
| グループ | 主なモジュール | できること |
|---|---|---|
| メッセージ | Create/Update/Delete a Message、Search Messages | メッセージの送信・編集・削除・検索 |
| 監視(トリガー) | Watch New Events(即時)、Watch Files | 新着イベント・新規ファイルの検知 |
| ファイル | Upload/Download/Delete/List a File | ファイルのアップロード・ダウンロード・削除・一覧取得 |
| チャンネル | Create/Archive a Channel、Add a Star to a Channel | チャンネルの作成・アーカイブ・スター付け |
| その他 | Add a Reaction、Create a Reminder | リアクション追加・リマインダー作成 |
🗓 情報確認日:2026年8月14日(make.com公式アプリドキュメントapps.make.com/slack・apps.make.com/slack-modulesで確認)。仕様は変更される場合があるため、最新情報は公式ドキュメントでご確認ください。
接続を作成する
新規シナリオで「Slack」を検索し、使いたいモジュールを選択します。「Add」から新しい接続を作成し、Slackのログイン・許可画面で認証すれば完了です。
Slackの無料プランでは、連携できるアプリが最大10個までに制限されています。make.comを1つ組み込めば、この記事で紹介する3つのシナリオはすべて同じ枠内で動かせるため、残り9枠は通常のアプリ連携に使えます。ツールごとに1枠ずつ消費していくより、枠を節約しながら幅広い自動化ができるのがiPaaSを挟む利点です。
「即時」と「定期実行」の違い
freee・Zoho CRMの連携記事で紹介したトリガーは、いずれも「一定間隔でデータを確認しにいく」ポーリング型でした。Slackにはこれに加えて、Webhookを使った即時トリガーが用意されています。
| 比較項目 | Watch New Events(即時) | 一般的なポーリング型トリガー |
|---|---|---|
| 反応速度 | ✔ イベント発生と同時 | 設定した間隔(無料プランは15分ごと) |
| 仕組み | Webhook(Slack側からmake.comへ通知) | make.com側が定期的に確認しにいく |
| 設定の手間 | やや専用の設定手順が必要 | 対象・間隔を選ぶだけ |
| クレジット消費 | イベント発生時のみ | 変化がなくてもチェックのたびに消費する場合がある |
公式ドキュメントによると、Watch New Eventsで作成したWebhookはmake.com側に自動的に紐づき、Slack側で個別に追加設定をする必要はありません。「Webhook名を入力」→「イベントの種類を選択」→「対象チャンネルを選択(任意)」→「保存」という手順だけで即時トリガーが完成します。
シナリオ①:特定キーワード検知→担当者に個別通知
「至急」「クレーム」といった重要キーワードを含むメッセージだけを、担当者に個別で知らせたい場合のシナリオです。
トリガーに「Slack」→「Watch New Events (Instant)」を選択し、Webhookを新規作成します。イベントの種類は「メッセージ投稿」を選び、監視したいチャンネルを指定します。
トリガーの後ろに「フィルター」を追加し、メッセージ本文に特定の単語が含まれる場合のみ後続処理に進むよう設定します。
「Slack」→「Create a Message」を追加し、チャンネルタイプを「Direct Message」に設定して、通知先ユーザーIDを指定します。
シナリオ②:90日で消えるファイルをGoogleドライブに自動退避
Slackの無料プランでは、投稿から90日を過ぎたファイルは閲覧・検索ができなくなり、1年が経過するとデータそのものが削除されます。あとから有料プランに切り替えても、1年を過ぎたものは戻りません。
厄介なのは、この損失に「必要になったときに初めて気づく」という点です。契約書、設計資料、議事録のPDF——業務の中核にある書類ほど、探すのは半年後・一年後になりがちです。詳しい制限内容はSlack 無料プランの制限まとめで解説していますが、対策の考え方はシンプルで、消える前に外部へ逃がしておくことに尽きます。
これを手作業の転記でやろうとすると、忙しい時期ほど抜け落ちます。そして、そういう時期の資料ほど後から必要になります。自動化しておく価値が最も高い領域です。
「Watch Files」トリガーで、指定チャンネルへの新規ファイル追加を検知します。後続に「Download a File」を追加してファイル本体を取得し、さらに「Google Drive」→「Upload a File」につなげて、指定フォルダに自動保存します。ファイル名に投稿日時を付加するようマッピングしておくと、後から探しやすくなります。
難易度:中 設定時間の目安:35〜45分- 90日を過ぎてSlack上から見えなくなっても、Googleドライブに実体が残る
- 1年経過でSlack側のデータが削除されても影響を受けない
- Slackの5GBストレージ上限を圧迫しにくくなる
- Googleドライブ側の全文検索が使えるため、探しやすさも向上する
Watch Filesはチャンネル内のすべてのファイル種別を検知対象にできますが、画像・動画・PDFなど「type」パラメータで絞り込むことも可能です。すべてのファイルを無条件で自動保存すると、意図しないファイル(スクリーンショットの雑談画像など)まで蓄積されてしまうため、業務用資料のファイル形式(PDF・Excelなど)に限定するフィルターを追加することをおすすめします。
クレジットの消費を抑える意味でも、絞り込みは有効です。雑談チャンネルまで対象にすると、実行回数が一気に増えます。
シナリオ③:複数チャンネルの発言をスプレッドシートに集約
複数の営業チャンネルでの顧客対応履歴を、後から横断的に振り返りたい場合に便利なシナリオです。シナリオ②がファイルを守る仕組みなら、こちらはメッセージそのものを90日の外に持ち出す仕組みだと考えてください。
Watch New Eventsトリガーで、監視対象チャンネルを複数指定できる場合は複数チャンネルをまとめて設定します(1シナリオで対応できない場合は、チャンネルごとにシナリオを複製して同じスプレッドシートに書き込む形でも対応できます)。後続の「Google Sheets」→「Add a Row」で、投稿日時・チャンネル名・投稿者・本文を1行ずつ追記していきます。
難易度:中 設定時間の目安:30〜40分- 蓄積したデータをピボットテーブルで集計し、チャンネルごとの発言数を可視化する
- スプレッドシートの行数が一定を超えたら自動でSlackに「棚卸しの時期」を通知する
- ChatGPT等のAIモジュールと組み合わせて、蓄積データを週次で自動要約する
3つ動かすときのプラン上限に注意
ここまで3つのシナリオを紹介しましたが、make.comの無料プランで同時に有効化できるアクティブシナリオは2つまでです。3つすべてを常時稼働させたい場合は、Core以上の有料プランが必要になります。
まずは自社にとって優先度の高い2つに絞って動かし、効果を確認してから3つ目を判断するのが現実的です。使っていないシナリオを「無効化」しておけば枠は空くため、時期によって入れ替える運用もできます。
もう1つの制約が月1,000クレジットの上限です。1回のシナリオ実行で使うクレジット数は、通過するモジュール数に応じて増えます。たとえばシナリオ②は3モジュール構成なので、ファイル1件の保存で3クレジット前後を消費する計算になります。投稿が多いチャンネルを対象にする場合は、月内に上限へ届く可能性を見込んでおいてください。
逆に言えば、「2つで足りるか、3つ以上必要か」が有料プラン検討の最初の分岐点になります。通知だけなら無料で十分ですが、通知とファイル退避とログ集約を並行して回したい規模になってきたら、有料プランを前提に設計したほうが結果的に楽です。
実際に組んでみた感想
即時トリガーについて:freee・Zoho CRMの連携記事を書いた直後にSlackのドキュメントを読むと、Watch New Eventsの「Webhookが自動で紐づく」という手軽さがよく分かります。Zoho CRMの「Watch Objects」は必須フィールドの制約や最大47フィールドという上限がありましたが、Slackの即時トリガーにはそうした細かい制約が少なく、比較的すぐに動かせる印象でした。
モジュールの網羅性について:メッセージ・ファイル・チャンネル・リマインダー・ステータスと、業務でよく使う操作がひととおり揃っている点は、他の2アプリと比べても充実していると感じました。特に「Add a Reaction」(リアクション追加)のような細かい操作までモジュール化されているのは、Slackの利用シーンの多さを反映しているのだと思います。
注意点について:ワークスペースの管理者設定によっては接続作成自体がブロックされるケースがある、という記述は見落としがちなポイントでした。会社のSlackワークスペースで試す場合は、事前に管理者への確認を済ませておくとスムーズです。
よくあるつまずきポイント
Slackワークスペースの管理者が、一般メンバーによるアプリ接続の作成を制限している可能性があります。ワークスペース管理者に「アプリのインストール制限」設定の確認・緩和を依頼してください。
Watch New Eventsは、人間の投稿だけでなく他のBotからの投稿も検知します。無限ループ(Botが投稿→検知→別のBotが返信→また検知…)を避けるため、フィルターで「投稿者がBotでない場合のみ」処理を続ける条件を追加することをおすすめします。
無限ループはクレジットを一気に消費する原因にもなるため、無料プランで運用する場合は特に注意してください。
プライベートチャンネルの内容を監視・取得する場合、接続したSlackアカウントがそのチャンネルのメンバーである必要があります。Bot用の専用アカウントを使う場合は、対象チャンネルへの招待を忘れないようにしてください。
よくある質問
まとめ
make.comとSlackの連携は、Webhookベースの即時トリガーが使える点が最大の特徴です。特定キーワードの個別通知、90日で消えるファイルの自動退避、複数チャンネルの発言集約まで、業務でよくある「重要な連絡を見逃す」「あとで振り返れなくて困る」といった悩みを、ドラッグ&ドロップの範囲で解消できます。
まずは設定が最も簡単なシナリオ①のキーワード通知から試し、動作を確認できたらシナリオ②のファイル退避に進むのがおすすめです。無料プランでも2つまでは同時に動かせるので、この2つで運用を始められます。
- 無料プランでもSlackの即時トリガーを試せる
- アクティブシナリオは2つまで・月1,000クレジット
- 3つ以上を常時稼働させるならCore以上